児玉郡神川町新里の富永クリニック|内科・小児科・呼吸器内科・消化器内科・循環器内科

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教えて!?ドクターQ&A

一カ月前に風邪をひき、そこから咳だけが治りません。特に寝る前に咳が出てなかなか寝付けません。
それ以外は治っていますが診てもらうべきでしょうか。

まず咳(咳嗽)の原因は空気の通り道である気道(咽頭、喉頭、気管支)からほこり、煙、細菌、ウイルスなどの異物を出すために起こる防御反応です。夜間咳が出る原因は自律神経(副交感神経)が亢進し気道が狭くなる、布団にいるダニやほこりが原因で気道が刺激される、また喘息を誘発する、仰向けで寝ると鼻水が喉に流れる、夜間気道過敏が増すなど考えられています。
風邪をひいた時の咳は細菌やウイルスが気道で感染し気道粘膜からでた粘液が細菌やウイルスなどをからめ取った痰を排出する働きがあります。
今回のように長引く咳の原因で多いのは咳喘息、アトピー咳嗽、副鼻腔気管支症候群、風邪症候群後咳嗽、胃食道逆流症です。咳喘息は喘鳴を伴わない喘息で気道の炎症、狭窄が原因です。アトピー咳嗽はアレルギー体質で起こす乾いた咳で咳感受性の亢進が原因です。副鼻腔気管支症候群は慢性副鼻腔炎が原因で気管支炎など合併します。風邪症候群後咳嗽はインフルエンザなどのウイルス感染後やマイコプラズマ感染症、肺炎クラミジア感染症、百日咳などが含まれます。胃食道逆流症は胃酸や胃内容物が食道に逆流し咳が出ます。
その他慢性気管支炎、COPD、肺結核、肺がん、心不全なども鑑別疾患として重要であり、各疾患により治療が異なるため咳止めを漫然と服用するのは好ましくありません。3週間以上続く咳は内科または呼吸器内科を受診し精査することをご検討ください。長引く咳にはご用心。

胃十二指腸内視鏡検査(胃カメラ)を受け、胃潰瘍と診断されヘリコバクター・ピロリいう菌を保有していると言われました。
この菌について教えてください。

ヘリコバクター・ピロリ菌(ピロリ菌)はなぜ強酸の胃の中で生息できるのか?それはピロリ菌がウレアーゼという酵素を出し、この酵素が胃の中の尿素を分解しアンモニア(アルカリ性)を発生させ、ピロリ菌の周りで胃酸が中和されるためです。
感染経路は酸性の弱い小児期の経口感染が主です。衛生環境(特に水)が整ったことや口移しでの食習慣が無くなったことが奏功したと考えられています。
ピロリ菌が胃の粘膜に長期感染すると慢性胃炎になり、その後、萎縮性胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍が発症すると考えられています。胃潰瘍の75%、十二指腸潰瘍の95%以上がピロリ菌陽性です。(日本食品科学工学会誌 53(5),316-316,2006 公益社団法人 日本食品科学工学会)また胃がんとの関連も高く、ピロリ菌陽性者を除菌した群は、除菌しない群に比べ胃がん発症が1/3に抑制されたと報告されています。(Fukase K. et al.:Lancet.2008:372(9636):392-7)
治療は消化性潰瘍治療薬であるプロトンポンプ阻害薬と抗生物質2種類の3剤併用で1週間服用すると90%前後の除菌率です。
ピロリ菌が関係する、その他の疾患では胃MALTリンパ腫(胃原発悪性リンパ腫の一種)特発性血小板減少性紫斑病(血小板が減少し出血しやすくなる病気)機能性胃腸炎(胃潰瘍や胃炎はないが胃もたれ、吐き気などが続く)などがあります。
検査でピロリ菌陽性が認められた場合は速やかに除菌することをぜひご検討ください。
またピロリ菌に感染してもほとんどの人は無症状です。採血(抗体法)で済む簡便な方法もあり、検査を受けたことのない人は、受けることをご検討ください。

健康診断の結果で血糖値が少し高く、糖尿病予備軍だと言われてしまいました。
糖尿病予備軍とはどんな病気ですか、どうしたらいいか教えてください。

糖尿病予備軍とは血糖値が正常型にも糖尿病型にも属さないグレーゾーンで、境界型または耐糖能異常と言われています。食べ物に入っている糖質は主に小腸で分解されブドウ糖になり血液に入り血糖値が上がります。それをすい臓が感知してインスリンを分泌しブドウ糖を筋肉、脂肪、肝臓などの組織へ取り込み血糖値を正常に戻します。インスリンの分泌不足や作用不良によって血糖値が高くなった状態が耐糖能異常(境界型)または糖尿病です。
境界型は「経口75gブドウ糖負荷試験」で診断します。特定健診では早期より境界型やメタボリック症候群を見いだすため1~3カ月の血糖値の平均を示すHbA1c(正常値は4.6~6.2%)を5.6%以上、空腹時血糖値100mg/dl以上を異常としています。
境界型でも食後高血糖が長く続くと糖尿病同様に動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳梗塞の危険性が増すため内科(または糖尿病内科)を受診し、食事、運動療法を行い、正常型に戻すことが重要です。戻らない場合も糖尿病に移行しないよう食事、運動療法を徹底します。また、動脈硬化を増悪させる脂質異常症、高血圧、肥満を合併(メタボリック症候群)する場合も多く、その場合は、生活習慣の改善を行い、作用が得られない場合は薬物療法を考慮します。肥満の解消にはまず現体重の5%減を目指し、食事量、動物性脂質、糖質の制限、繊維摂取の促進、間食の配慮、運動の奨励、飲酒習慣の是正、禁煙など行います。急激な減量はリバウンドなどで続かないことが多く、徐々に減量していくことがポイントです。

50代男性です。健康診断でLDLコレステロールが少し高めとの結果でした。
LDLコレステロールについて教えてください。またLDLコレステロールを減らすにはどうしたらいいですか。

コレステロールは、からだを構成する細胞を包む細胞膜の成分や、ステロイドホルモン、胆汁の成分で重要な物質です。コレステロールは油なので、水(血液)には溶けない(水と油)ため、肝臓で水に溶ける働きを持つタンパク質と結合してLDLコレステロール(LDL-C)になり血液に溶けて移動します。
余分なLDL-Cは動脈の壁に入り込み動脈硬化(動脈が狭くなる、詰まる)を引き起こすため、悪玉コレステロールと言われています。高LDL血症は、心筋梗塞、狭心症や脳梗塞などの動脈硬化性疾患の重要な危険因子です。
原因として以前はコレステロールの過剰摂取とされてきましたが、コレステロールをたくさん摂取しても、厳しく制限しても、肝臓で合成されるLDL-Cの量にはあまり変わらないと報告されました。しかしトランス脂肪酸(マーガリンの成分)や飽和脂肪酸(動物性脂肪)の過剰摂取は動脈硬化を促進します。高LDL血症の主な原因は体質(遺伝)ですが、運動不足、植物繊維不足も要因です。野菜、海藻、きのこ、玄米などの食物繊維は、腸内でコレステロールや脂肪分を体外に排出する働きがあり、植物性ステロールは、コレステロールの吸収を防ぐ働きがあります。運動療法、食事療法で改善しない場合は内服薬のスタチン(肝臓でのLDLコレステロール合成を抑制)を使用します。
その他の動脈硬化の危険因子はメタボリック症候群、喫煙、高血圧、糖尿病、慢性腎臓病、高尿酸血症等で、包括的な管理が必要です。

飲酒または激しいスポーツをした翌日ですが、尿が異常に泡だっています。
時々甘い匂いもしますが、以前受けた血液検査では糖尿病と診断されませんでした。ですが、糖尿病になった身内がいるため、不安です。どうしたらいいでしょうか。

尿に泡ができる原因は石鹸の泡と同様に界面活性物質が影響します。界面活性物質が泡の膜に並び、空気を包みやすくするためです。通常尿中にある老廃物が界面活性物質となり泡はできますが、速やかに消えます。消えずに残る場合は、1.タンパク尿(タンパク質が界面活性物質となる)2.尿糖(尿の粘稠度が増す)3.濃縮尿(界面活性物質が濃縮される)が主な原因です。
腎臓に流れ込む血液は糸球体でろ過されますが、タンパク質はほとんど、ろ過されません。わずかにろ過されたタンパク質も尿細管で再吸収され、正常ではほとんど尿に出ませんが糸球体の病気(腎炎など腎機能障害)ではタンパク尿が出て尿が泡立ちます。
糖尿病の場合は血糖値が高い(180mg/dl以上)と尿糖が出て粘稠度を増し尿が泡立ちますが、糖尿病が進行すると腎機能が低下(糖尿病性腎症)し、タンパク尿が出て尿が泡立ちます。
激しい運動の直後や、高熱を伴う病気、重症の高血圧などでも糸球体の機能が低下しタンパク尿がでて尿が泡立ちます。また夏場、運動の後、高熱を伴う病気や飲酒後は脱水になり、濃縮尿となり尿が泡立ちます。
今回の質問は尿の甘い匂い、糖尿病の家族歴、糖尿病と診断されていないため境界型(糖尿病予備軍)が考えられます。境界型の人が飲酒するとアルコールおよびおつまみを食べる影響で高血糖となり尿糖が出て尿が泡立ちます。また飲酒または激しいスポーツをした翌日は脱水となり濃縮尿がでて尿が泡立ちます。これらの影響で尿が泡立ったと考えられますので内科または糖尿病内科を受診しましょう。すぐ消えない尿の泡に気付いたらまず内科受診をご検討ください。

悪性リンパ腫について症状や治療法を教えてください。「血液のがん」とも言われていると聞いたのですが、治る病気なのでしょうか。

悪性リンパ腫は、白血球の一種であるリンパ球が「がん化」した病気です。年々増加傾向にあり、人口10万人あたり約20人で、発症のピークは60~70歳代です。リンパ腫は組織型により50種類以上に分類されますが、大きくホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫に分かれ、日本人の90~95%は非ホジキンリンパ腫です。今回は非ホジキンリンパ腫について説明します。
発症の多くは頚部(首)、腋窩(わきの下)、鼠径(足の付け根)などのリンパ節に、通常痛みのないしこりができます。数週から数カ月かけで徐々に増大し、進行すると全身に広がっていきます。全身的な症状としては発熱、体重の減少、寝汗を伴うことがあります。リンパ節以外では、皮膚、消化管(胃が多い)、眼窩(目の中)、肺、脳などにも発生することがあり、かゆみや発疹、リンパ腫の圧迫による気道閉塞、血流障害、麻痺などさまざまな症状があらわれます。
診断は病変部から組織を採取し、顕微鏡で診断します。悪性度は低悪性度、中悪性度、高悪性度リンパ腫に分類されます。また進行度は病期分類を用います。
治療は、組織型、悪性度や全身状態で異なりますが、病期I期、II期は限局しているため、放射線療法および化学療法(抗がん剤投与)を主に行い、進行した病期III期、IV期は主に化学療法を行います。治療作用が不十分な場合は、さらに強い化学療法や骨髄移植などが行われます。
無痛のリンパ節腫大に気付いたら内科または血液内科を受診しましょう。早期発見が重要です。

B型肝炎の予防接種が定期になり1歳の娘は打ちましたが、4歳の娘の時はまだ定期ではなかったので打っていませんが、どうしたらいいでしょうか。
またB型肝炎について教えてください。

B型肝炎とは、B型肝炎ウイルス(HBV)による感染症です。HBVは感染力が強く、体内に入ると肝臓で増殖し、急性肝炎で治る場合と肝臓に長く住みつき慢性肝炎やキャリア(症状の無い持続保菌者)になります。
慢性化すると長期の治療が必要です。感染経路はキャリアの母親から分娩の時に産道で感染する母子感染とHBV陽性者からの輸血、血液の被曝(傷口から感染)、針刺し(ピアスの穴開け、刺青も含む)や性行為による感染がほとんどです。3歳以下の感染はキャリアになりやすく、キャリアのほとんどは母子感染でした。
慢性化しやすい欧米タイプ(遺伝子型A)が性行為から感染し、知らない間に感染したキャリアからの感染も報告されています。しかし、B型肝炎は予防可能です。母子感染は、ワクチンと抗HBs人免疫グロブリンの注射で防げます。WHOは、ワクチンで防げる病気はワクチンで防ぎ、感染源を撲滅し関連死を無くす目的で、世界中の子供にワクチン接種(ユニバーサルワクチネーションという)を呼びかけ、ほとんどの国で定期接種になりました。日本でも2016年10月から、定期接種になり、これにより新たな患者は減少し将来は撲滅するでしょう。定期接種に含まれなかったお子様や接種していない成人はワクチン接種をぜひご検討ください。

C型肝炎について教えてください。またB型肝炎との違いはなんでしょうか。

C型肝炎とはC型肝炎ウイルス(HCV)の感染症です。HCVに感染すると15~45%は自然治癒しますが、55~85%の人が持続感染者になります。感染後急性肝炎を発症することはまれで、自覚症状が無いまま慢性肝炎となりその15~30%は約20年を経て肝硬変になります。(海外で健康に過ごすために 厚生労働省 検疫所FORTH C型肝炎について)
現在日本には約100万人のHCV感染者がいると推定されています。HCVは血液を介して感染し、感染経路は、注射器や針の使い回し、刺青、ピアスの穴開けなどが原因で、通常の生活で他人の血液に直接触れることが無ければ、ほとんど感染しません。また性感染や母子感染もまれです。現在使われている輸血用の血液や血液製剤は、高い精度の検査が行われ、ほとんど感染しませんが、以前の輸血、フィブリノゲン製剤や血液凝固因子製剤は、ウイルスチェックが不十分で感染した可能性があります。
HCVの診断は採血でHCV抗体を調べ、陽性であれはHCVのRNAを調べ、検出されればC型肝炎と診断します。現在の治療は経口剤を8~12週服用するだけで95%以上の人でウイルスが消失します。B型肝炎との大きな違いは、B型はワクチンが有効ですが、C型にはワクチンが無く、B型にはウイルスを消す治療薬がありませんが、C型にはある点です。そのためC型肝炎と診断されたら、速やかに治療を受けることが肝要です。肝機能検査が正常のC型肝炎も珍しくありません。一度は内科を受診し検査を受けましょう。将来治療によりC型肝炎は撲滅するでしょう。

関節が痛く、身体がだるい感じがしますが熱は36度の平熱です。
熱がでないのにインフルエンザの可能性もあると聞いたのですが検査した方いいのでしょうか。

インフルエンザはインフルエンザウイルスによる感染症で、1~3日の潜伏期間を経て突然の悪寒、発熱、関節痛、筋肉痛、倦怠感(だるさ)、咳、痰などが出現します。
インフルエンザにはA、B、Cの3種類があり、A型は、これらの症状が激しく大流行しやすく、B型は、大流行はまれで、症状はAとほぼ同様ですが熱はやや低く、下痢やお腹の不調を伴うことがあり、C型は、幼児に多く、鼻水が主な症状です。感染経路は飛沫感染と接触感染がありますが、主に飛沫感染で、1回のくしゃみで200万個、1回の咳で10万個ものウイルスが飛散し、半径2メートル以内にいると感染率が増します。
診断は迅速診断キットで行い、発症(発熱)後12~48時間後に行うと陽性率が高く出ます。発熱とは、防御反応で、体温をあげることで、体内へ侵入した病原体と戦いやすくしています。
高齢者は、免疫機能の老化(低下)で熱はあまり出ないのに肺炎など、重篤になることがあります。また予防接種の影響で、高熱が出ない人や、熱の出にくい体質、免疫能が高く熱が出にくい人も時々います。そのため、インフルエンザの流行時期は発熱が無くても、倦怠感、関節痛、筋肉痛を伴う場合は、内科を受診しインフルエンザの検査を受けましょう。

新型コロナウイルスのニュースで、PCR検査、抗原、抗体検査が話題になっていますが、違いについて教えてください。

PCR検査とは。ウイルスはおのおの異なったDNAの構造を持っています。鼻腔のぬぐい液や唾液等からウイルスのDNAを取り出し、そのウイルスに特徴的なDNAの部位を増幅して検出します。そのため少量のウイルスでも検出可能で、陽性であればウイルスの存在が確定します。
抗原検査とは。人は体内にウイルスが侵入すると、それを敵だと認識し、攻撃して排除する働き(免疫)があります。敵と認識するのが、各ウイルスに特有なタンパク質(抗原)です。鼻腔ぬぐい液等でこの抗原を検出すれば、ウイルスの存在が確定します。
抗体検査とは。人はウイルスに感染すると抗原抗体反応が始まり、数日でIgM抗体ができ、ウイルスを攻撃する手助けをします。また早期に出現するため感染の診断に有用です。その後に造られるIgG抗体は、長期間血中に残り、感染したウイルスを記憶し、次に同じウイルスが侵入した際、直ちに敵だと認識し、感染を防ぎます。IgG抗体が高ければそのウイルスには感染しにくいことになります(血液で検査)。
ウイルスの存在はPCR検査、抗原検査で確認します。抗原検査はPCR検査に比べ陽性率でやや劣りますが、簡便で判定時間が短くルーティン検査に適しています。抗体のできる経過で感染初期はIgM抗体産生され、感染後期からIgG抗体が産生されます。また過去の感染はIgG抗体で確認します。新型コロナワクチンの作用もIgG抗体で確認できます。

「菌血症」とはなんでしょうか。どのような人がかかりやすいですか?

菌血症とは、本来無菌であるはずの血液中に外傷や感染(化膿)傷から細菌が流出し血液中に侵入して血液に細菌が検出された状態を言います。血液中にはいろいろの菌を殺す働き(免疫)が存在し菌が血液中に入っても排除(殺菌)しますが、防御機能の低下や、血液中に入った細菌が防御機能を上回る感染力を有していると、菌血症となります。診断は血液培養(採血した血液を培地に撒いて培養)による血液中の菌の検出です。原因は外傷、皮膚の感染(化膿)、抜歯や歯石除去などの処置、歯肉炎、激しい歯磨き、肺炎や尿路感染症などさまざまです。菌血症は放置すると重症化する可能性があり、早期に発見し抗菌薬の投与が必要です。
菌血症の症状は、一過性で改善するものは無症状ですが、感染を伴うと悪寒、戦慄、全身倦怠感や筋肉痛が出現し、消化器官に影響すると嘔吐等を起こすこともあります。また体温は上昇(発熱)しますが、重症化すると逆に体温は低下し、意識障害、ショックや多臓器障害(肝障害や腎障害など)などを伴いこの状態を敗血症と言います。
菌血症の症状は多彩で特異的な症状はありませんが、原因の多くは感染や機械的刺激です。経過を詳しく聞いて診察、検査、治療が重要です。かかりやすい人は免疫機能が低下している人で免疫不全症(先天性や後天性)、糖尿病、抗がん剤治療中、免疫抑制剤や副腎皮質ステロイド剤服用中の患者ですが健常な人もしばしばかかります。

健康診断で高脂血症と診断されました。自覚症状も無く日常生活で支障もないのでそのままにしていますが、どうしたらいいでしょうか。

1.LDLコレステロール140mg/dl以上、2.中性脂肪150mg/dl以上、3.HDLコレステロール40mg/dl未満のうち1つでも満たせば高脂血症(脂質異常症)です。
コレステロールは悪玉コレステロールと言われ、増加すると、血管壁へコレステロールが蓄積し動脈硬化をおこし血管が細くなり、心筋梗塞や狭心症、脳梗塞などを誘発します。治療薬はスタチンが有効です。
中性脂肪は肉や魚・食用油など食品中の脂質や、体脂肪の主な成分で、重要なエネルギー源ですが、とり過ぎると体脂肪として蓄えられ、肥満や、生活習慣病を引き起こします。また中性脂肪が増えるとLDLコレステロールが増えHDLコレステロールが減少します。治療薬はベザフィブレートが有効です。
HDLコレステロールは善玉コレステロールと言われ、余分なコレステロールを回収して動脈硬化を抑え、血管壁にたまったコレステロールも取り除きます。
脂質異常症の主な原因には高カロリーで高脂質の食事摂取や運動不足といった生活習慣が関係しています。また高脂血症になりやすい体質や遺伝(家族性高脂血症)もあります。
LDLコレステロールや中性脂肪を減らしHDLコレステロールを増やす食材は、マグロ、サンマ、サバ、イワシなどでDHAやEPAを多く含みます。コレステロールの吸収を抑えるのは大豆、海藻、キノコ、根菜などです。また糖質を控えた食事も有効です。
健康診断で高脂血症を指摘されたら、食事療法や運動を行い、内科を受診しましょう。

健康診断の胸部レントゲンでCOPD疑いと書かれていました。COPDとはどんな病気ですか教えてください。

COPDとは、従来言われていた慢性気管支炎や肺気腫の総称で慢性閉塞性肺疾患と言う病気です。日本には530万人以上の患者がいると推測されていますがほとんど未治療です。
COPDは、長年のタバコの煙が主な原因で気管支に炎症がおよび気道が狭くなり(慢性気管支炎)、また気管支が枝分かれした先にあるぶどうの房のような肺胞(酸素を取り込み二酸化炭素を排出する)の壁が破壊され、弾力がなくなり肺胞が広くなります(肺気腫)。症状は歩行や階段昇降時の息切れや呼吸困難、慢性の咳や痰が特徴ですが、喘鳴や発作性呼吸困難など喘息様症状を呈することもあります。
40歳以上で、長期の喫煙歴(現在は禁煙していても)、慢性の咳、痰、息切れや呼吸困難があればCOPDを疑います。診断は呼吸機能検査(スパイロメトリー)を用い、息を大きく吸って全力で吐く最初の1秒(1秒率)の低下です。COPDが進行すると胸部レントゲンで肺の過膨張で肺が黒く写り、胸部CTでは肺の過膨張と気管支の肥厚を認めます。
COPDは進行性の病気で、治療により元に戻ることはありませんが、進行を遅らせることは可能です。重症化し低酸素血症が進行した場合は在宅酸素を導入します。治療の基本は禁煙で、気管支拡張薬(抗コリン薬・β2刺激薬)の吸入は有効で、呼吸リハビリや運動も重要視されています。COPDが疑われたら速やかに内科または呼吸器内科を受診しましょう。